コラム

残業代計算の基本 残業代を請求されたら最初にチェックすること

残業代をめぐるトラブルが増加しています。ある日突然、従業員から100万円近い、もしくはそれ以上の残業代を請求されることも珍しくありません。そのような場合、会社としてはどう対処すればよいのでしょうか。残業代の基本ルールから読み解いていきましょう。

1.  3つの残業代

残業代と呼ばれているものには、大きく3つの種類があります。

(1) 時間外労働手当(いわゆる残業代)、(2)深夜労働手当、(3)休日労働手当です。

長時間働く、深夜から早朝にかけて働く、休日に出勤する、どれも残業代がついて給与が高くなるイメージがありますよね。

しかし、この3つの残業代は、それぞれ、割増率(基本給よりいくら高くなるのか)が異なるので、残業代を計算する時には、別々に時間を管理しなければなりません。

2. 残業代の基本ルール

(1)労働時間が8時間を超えるとき

時間外労働手当がつくのは、一日の労働時間が8時間を超える時です。8時間ぴったりで退勤する場合には残業代はつきませんが、8時間を1分でも超えると、残業代が発生します。

(2)残業代の割増率

時間外労働、いわゆる残業代の割増率は25%です。例えば、時給1000円で働いている人であれば、1日の労働時間が8時間を1分でも超えたら、それ以降は時給1250円で給料を支払わなければいけません。また、月の残業時間が60時間を超えてしまうと、それ以降の割増率は50%になります。

1日8時間超えの労働  25%増しの残業代

1月60時間超えの残業 50%増しの残業代

3.  休憩時間と残業代

休憩時間を取ると、その分は労働時間に含まれません。そのため、残業代を請求された場合、休憩時間もきちんと計上されているのか確認する必要があります。

休憩時間が全く計上されていない、ということはあまりありませんが、実際の休憩時間とはちがい、短めに計算している場合はあります。残業代請求をされたら、従業員の方が休憩時間をどのように計上しているかに着目しましょう。また、会社のタイムカードや勤務の実態からして、休憩時間が正しく計上されているのかを検証しましょう。ある事例では、泊まり込みで働いている前提で残業代を請求しているのに、休憩時間を0としているケースがありました。シフトの体制や勤務の実態からみて、本当に休憩時間がないのかどうかを考えてみましょう。

4.  実労働時間と残業代

残業代は実際の労働時間を元に計算します。例えば、タイムカードでは18時に上がったことになっていても、20時まで会社にいて残業していたような場合は、20時までの残業代を支払わなければいけません。

(1)実態との一致

従業員が残業代請求をする場合、本人の手元には正確な勤怠時間の記録がないために、多少おおざっぱに労働時間や休憩時間を記載して、残業代を請求することは多々見られます。会社としては、本当にその時間に出勤し、退勤し、休憩していたのか、欠勤した日や遅刻した日はないのか、実態をイチから確認していくことになります。

会社が有利になるためには、とにかく、労働時間を減らし、休憩時間を増やすことです。これに役立つ勤務実態がなかったのかを検証しましょう。

(2)記録の有無

労働時間の管理は雇っている会社の義務です。出勤時間、退勤時間、休憩時間の記録は会社がつけるものと考えられています。そのため、「うちはタイムカードがない」「直行直帰を認めていて、いつ出勤して退勤しているのかわからない」という状態になってしまうと、従業員から請求されたとおりの残業代を支払わなければいけなくなってしまいます。労働時間の記録が残っているか、これが肝になってきます。

また、記録があっても、記録どおりには残業代を支払いたくはない、というパターンもあります。例えば、「あいつはサボってこの時間仕事をしていなかった」「ダラダラ仕事をして無駄な残業をしていた」と言っても、それを管理できていなければ、残業代は発生してしまいます。

(3)従業員が求めていること

残業代請求で、従業員が求めていることを読み解くのも大切です。たとえ訴訟をし、時間がかかってでも、満額に近い残業代請求を成功させたいのか、あるいは多少金額が下がっても、交渉で迅速に問題を解決したいのか、会社の懐事情を承知しているのか、従業員の思惑によっても会社の出方は変わってきます。問題解決が長引いてしまうと、他の従業員も「自分も残業代を請求できるのでは」と考えるようになりかねません。従業員にも減額を受け入れる余地があるのなら、会社から金額を提示して早期に解決してしまうことも考えられます。

反対に、従業員が労働時間を長めにして残業代を請求してくる場合があります。タイムカードなどの情報がなく、正確な労働時間がわからないため、概算で請求してくる場合が大半なのですが、請求された側としては、このようにおおざっばな計算がされていることも念頭におかなければいけません。これを見抜くためには、タイムカードなど日々の労働時間の記録を残しておくことが大切です。

5.  残業代請求のチェックポイント

(1)実態との一致

従業員が残業代請求をする場合、本人の手元には正確な勤怠時間の記録がないために、多少おおざっぱに労働時間や休憩時間を記載して、残業代を請求することは多々見られます。会社としては、本当にその時間に出勤し、退勤し、休憩していたのか、欠勤した日や遅刻した日はないのか、実態をイチから確認していくことになります。

会社が有利になるためには、とにかく、労働時間を減らし、休憩時間を増やすことです。これに役立つ勤務実態がなかったのかを検証しましょう。

(2)記録の有無

労働時間の管理は雇っている会社の義務です。出勤時間、退勤時間、休憩時間の記録は会社がつけるものと考えられています。そのため、「うちはタイムカードがない」「直行直帰を認めていて、いつ出勤して退勤しているのかわからない」という状態になってしまうと、従業員から請求されたとおりの残業代を支払わなければいけなくなってしまいます。労働時間の記録が残っているか、これが肝になってきます。

また、記録があっても、記録どおりには残業代を支払いたくはない、というパターンもあります。例えば、「あいつはサボってこの時間仕事をしていなかった」「ダラダラ仕事をして無駄な残業をしていた」と言っても、それを管理できていなければ、残業代は発生してしまいます。

(3)従業員が求めていること

残業代請求で、従業員が求めていることを読み解くのも大切です。たとえ訴訟をし、時間がかかってでも、満額に近い残業代請求を成功させたいのか、あるいは多少金額が下がっても、交渉で迅速に問題を解決したいのか、会社の懐事情を承知しているのか、従業員の思惑によっても会社の出方は変わってきます。問題解決が長引いてしまうと、他の従業員も「自分も残業代を請求できるのでは」と考えるようになりかねません。従業員にも減額を受け入れる余地があるのなら、会社から金額を提示して早期に解決してしまうことも考えられます。

6. まとめ

残業代請求をされると、いきなり多額の請求を突き付けられるので、狼狽えてしまいます。従業員の要求が本当に正しいのか、減額する根拠がないかを探しつつ、金銭的な解決を目指しましょう。併せて、労務トラブルを未然に防止するために、日々の労務管理を徹底することも重要です。

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