コラム

休日出勤でも残業代が必要? 高額な割増率に泣かない対策

繁忙期など、臨時で休日出勤をお願いする場合があるかと思います。多くはあまり自覚されていませんが、休日出勤には割増賃金が適用されます。一方、休日出勤の手当は対策を取ることで発生を抑えることができるのです。管理をしないともったいないことになる休日労働手当。他の残業代と併せて整理してみましょう。

1.休日労働手当とは

いわゆる残業代の中には、長時間労働に対する時間外労働手当と、深夜労働に対する深夜労働手当の他に、休日に出勤させた時に生じる休日労働手当があります。休日労働手当は、割増率も高く、高額になりやすいので、管理に注意が必要です。

2.休日労働手当の割増率

(1)基本の割増率

休日労働手当の割増率は35%です。時給1000円の従業員の場合、休日労働手当がつくと、時給は1350円になります。8時間を超える労働に対する時間外労働手当(いわゆる残業代)の割増率が25%であるのに対して、高額です。

休日労働手当の特徴は、休日に出勤させると1分からついてしまうことにあります。勤務時間の長短に関わりなく、休日の労働の全てが35%増になってしまうため、高額になりやすいのです。しかし、休日出勤は、従業員の勤務の管理をすれば、発生を防ぐことができるのです。

(2)時間外労働との組み合わせ

休日労働をさせて、かつ、その1勤務の労働時間が8時間を超える場合は、休日労働手当の他に時間外労働手当の割増も加算されます。時間外労働手当の割増率は25%なので、休日労働手当と組み合わせると60%の割増になります。

時給1000円の従業員の場合、休日労働だけでは時給1350円ですが、休日労働の日の労働時間が8時間を超えるとそれ以降の時給が1600円になります。

(3)60時間超え残業との組み合わせ

1カ月の残業時間が60時間を超えている従業員を休日労働させ、かつ、その日の労働時間が8時間を超えた場合には、さらに残業代が高額になります。60時間超え残業の割増率は50%なので、休日労働手当の35%と組み合わせると、85%の割増になってしまいます。時給1000円の従業員の場合、休日労働でかつ労働時間が8時間を超えた時点で、それ以降の時給が1850円になります。

(4)深夜残業との組み合わせ

休日労働でかつ、勤務時間が22時から早朝5時までの深夜労働にかかる場合は、休日労働の35%の割増と深夜労働の25%の割増が両方加算されて、60%の割増になります。時給1000円の従業員の場合、休日に深夜労働をさせると時給が1600円になります。

ただし、休日は午前0時までです。なので、この両方の割増がかかるのは、休日の午前0時から午前5時までの5時間か、22時から午前0時までの2時間かだけになります。従って休日の22時から翌日(休日ではなくなる)早朝5時まで7時間働かせても、午前0時を超えた以降は、休日労働の割増はかからなくなります。

3.休日はいつか

休日には法定休日と法定外休日があり、どちらの休日に出勤するかにより割増率が変わってきます。休日労働手当のつく休日は、法定休日だけです。法定休日とは何かというと、法律で「1週に1日以上の休日」または「4週に4日以上の休日」を与えると定められている休日のことを示します。つまり、休日労働をさせて割増手当がつくのは、週1日に限り(または4週に4日だけ)、会社の定めた法定休日だけです。週休2日にしている会社の場合、休日の1日は法定休日ですが、もう1日は会社が任意で設定した法定外休日にあたります。法定休日に出勤があれば、休日労働手当が必要ですが、法定外休日に出勤しても、休日労働手当はつきません。

では、法定休日とはいつでしょう? 就業規則や雇用契約書に「日曜を法定休日とする」と定めているような場合は明確ですが、そのような定めをしてない会社も多いです。実は、法律では「1週1日以上の休日」を与えることだけを定めていて、その法定休日をいつにするかは定めていません。従って、法定休日をいつにするかは、会社の自由です。慣例的に日曜を決まった休みにしている会社が多いので、多くの会社では日曜を法定休日としているのでしょう。土日休みの会社の場合、法定休日は土日のどちらかだけです。どちらかの休日に働かせることになった場合、休日労働手当をつけるかつけないか、迷わないように、あらかじめ、「うちの法定休日は日曜にする」ときちんと決めてしまっていた方が望ましいでしょう。ちなみに、厚生労働省では、就業規則などに法定休日が定められていない場合、土曜日が法定休日になるだろう、という考えを示しています。今の会社の実態と違う場合には、きちんと社内で法定休日を決めて、周知するようにしましょう。

シフト制の場合、シフトを組んだ時点で1週に1日、または4週で4日以上の休日があれば、法定休日を与えたことになるので、休日労働手当は発生しません。

このように、あらかじめ会社が法定休日を意識していて、それを避けるように勤務を組めば(1週7日間全て出勤させなければいけない、という事態は少ないでしょう)休日労働手当の発生を防止することができます。

4.代休と振替休日

休日労働手当の発生を防止するもうひとつの方法として、振替休日を活用することが挙げられます。振替休日とは、あらかじめ、休日を労働日に変更し、その代わりに別の日(元々労働日だった日)を休日に変更することです。あらかじめ休日を労働日に変更しているので、休日(法定休日)に出勤させても、休日労働手当は必要ありません。

これと似ているのが、代休です。代休は、休日に労働させた後に、別の日(元々は労働日だった日)を休日に変更することです。代休の場合は、休日に労働させてしまっているので、休日労働手当が必要です。

振替休日と代休のちがいは、働かせるよりも前に休日を変更しているかです。振替休日も代休も、別の日に休みを与えることには変わりません。休日に出勤が必要になることはあらかじめわかっていることが多いですから、きちんと事前に休日を変更しておき、振替休日にしておけば、休日労働手当の発生を防ぐことができます。

5.まとめ

休日については、自社の法定休日がいつかを意識しておらず、振替休日を活用しないまま、ついつい代休で対応してしまっている企業が多く見受けられます。休日出勤手当が支給されるケースと支給されないケースを明確に区別し管理するだけで、休日手当の発生を抑えることができます。適切な勤怠管理に向け、自社の振り返りをしてみてはいかがでしょうか。

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