コラム

自信過剰型のモンスター社員にどう対処するか?

問題社員、モンスター社員と言われる人達には、いくつかのタイプや特徴があります。人によっては協調性がなかったり、仕事の能力が低かったり、意図的に上司や規則に反するなど、様々です。そして、いくつかのタイプにまたがるような行動や特徴がある場合も珍しくありません。今回は、自信過剰が原因で問題行動を起こす社員の対処方法についてご紹介します。

1 自信過剰型の弊害

自信過剰な社員は、文字通り、自分の能力を過大評価している社員です。自信過剰ゆえに、様々な問題を巻き起こしやすくなります。例えば、他人を下に見ているので、他人からの意見や助言を受け入れない、他人とのコミュニケーションを取らない、他人に威圧的な言動を取る、自信があるが故に業務に潜むリスクを過小評価する、何かトラブルが起こった時に自分のせいではなく他のことが原因だと責任逃れをする、等です。自信過剰という内面的な問題ですが、それが様々なかたちとなってトラブルに現れるのです。

2 対処方法

自信過剰型のモンスター社員に対処するためには、まずは会社側の準備を整えておかなければ、足を掬われてしまいます。

(1)違反を取り締まる規則の確認

まず、自信過剰型のモンスター社員が巻き起こす問題行動が、自社の就業規則や内規ではどのように取り締まったり、処分できるのかを確認しておきましょう。今後起こる問題に対処していくわけですから、今の時点ですべて漏れなく対策をすることはできませんが、あらかじめ、どのような問題行動が、就業規則のどこに違反し、その場合にどのような処分ができるのか、会社として行うべき指導方法を大まかに確認しておくと、対応の方向性を定めることができます。

(2)人事のルールの確認

自信過剰型のモンスター社員が起こす問題行動に対し、会社がその社員をどう評価しているか、本人に評価を示す機会を設けることが有効です。自信過剰型のモンスター社員は、実力や会社からの評価よりも、自分の能力を過大に評価していることが問題です。自己肯定感が強く、やる気はあるが実力は乏しいという場合が多く、そのギャップに気づかせるために、会社からの評価を示すことが必要になります。これは、正式な人事評価の通達というかたちでもいいですし、個人面談での指導というかたちでも構いません。そのためにも、会社がどんな基準で評価をしているのか、何らかのルールが必要です。

また、時には、人事評価の結果、人事上の不利益を与える場合も出てくるでしょう。例えば、異動、降格、減給などです。人事上の不利益を与えるためには、まず、人事に関する規則があり、そこに異動や降格などの措置を命じられることが規定されていることが必要です。そして、モンスター社員の人事評価を下げ、その結果、降格や減給をする場合には、どういう時に人事評価が下がり、降格や減給につながるのかという人事評価の基準があることが望ましいでしょう。基準にしたがって人事上の措置をしていれば、「不当に給料を下げられた」と言われるリスクを下げることができます。

(3)指導を行う人員の確保

自信過剰型のモンスター社員に誰が対処するのか、あらかじめ決めておきましょう。毎回指導する人や注意する人が異なると、会社の体制が万全ではないと思われてしまいます。また、安定的な判断をするためにも、対応する人が代わる代わる変更するのではなく、きちんと担当者を決めておくほうがいいでしょう。

主な役割としては、日々の問題行動に対して指導を行う人、そして、より重大な局面になった時に厳重注意や不利益処分を言い渡す人と、大きく2つに分かれます。最低限、2人は人員を確保しましょう。

(4)問題行動の証拠

ここまで準備を整えたら、いよいよ問題行動への対処にとりかかることになります。

問題行動が本当にあったのか、どんな影響があったのか、後に争いにならないように、問題行動が起こる都度、記録に残し、証拠として取っておきましょう。

証拠といっても、毎回、録音や撮影をしろ、というわけではありません。もちろん、暴言や暴力が行われたという時に、緊急事態を記録するために他の社員が録音や撮影をすることはあるかもしれません。ですが、防犯カメラがあるような場合は例外ですが、社内で日常的に録音や撮影を行うことは実際にはできないでしょう。

社内での報告メールや、本人からの始末書、業務日報などを適宜収集するようにしましょう。口頭の報告だけでは、記録に残せないため、必ず書面で残すようにしてください。

(5)対処方針の決定

モンスター社員といっても、問題行動があった時に一発で解雇にできることは稀です。改めさせるチャンスを与える必要があるからです。

いきなり解雇にするのではなく、どういうステップで対処していくのか、大まかな方針を決定しておきましょう。現状から、どのような証拠が必要で、どう指導を行うか、始末書や課題提出をさせるか、いつまでにどのような改善行動を求めるか、改善が見られなかった時の対処方法はどうするか、決めておきましょう。

これは暫定的な方針ですから、予期せぬ大きな問題行動があった時や、本人に改善が見られた時には、適宜、方針を変更が必要です。

3 小さな取り組み

以上の対処方法を実践するためには、会社にもそれなりの準備が必要です。たとえすぐに実践できない場合でも、会社の体制が整うまで、モンスター社員を放置するのは望ましくありません。

会社の体制が万全でなくても、すぐに取り組めることとして、(1)問題行動の証拠の収集と(2)面談や指導があります。

ささいなことでも、対象者の問題行動を見過ごさず、会社が都度対処していた実績を残すことが大切です。面談や指導内容も報告書にして証拠化しておきましょう。

面談や指導の結果、モンスター社員の行動が改まれば好都合ですし、問題行動が繰り返された場合、退職勧奨(退職する気がないか、会社から勧める行為。退職を強要してはいけない)や懲戒処分に繋げることができます。

4 まとめ 

自信過剰型のモンスター社員には、周囲も会社も振り回されがちです。何から取り組んでいいかわからない状況でも、冷静さと慎重さを失うことなく、できるだけ問題が小さいうちに対策を講じるようにしましょう。会社のルールやスタンスを確認し、そこからブレずに一貫した行動を取り、会社のルールやスタンスにモンスター社員の方を合わせさせるという意識が大切です。

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