コラム

問題社員とは? 7つの特徴が判断基準となる!

あなたの会社にいる、厄介な社員。単に扱いにくいだけの社員なのか、法的に問題がある問題社員なのか? 問題社員のタイプを見ていきましょう。

1 協調性がない

問題社員のタイプのひとつとして、協調性がない社員が挙げられます。些細なことで文句を言って周りがやっている業務に参加しない、他の従業員とトラブルばかり起こす、上司・部下の文句や悪口を公言するなどが当てはまるでしょう。

このタイプを放っておくと、一人だけ業務に参加しないので、その分、業務効率が低下したり、周りの社員の士気が下がったり、時には人間関係の不和が元で社員同士の損害賠償問題に発展することもあります。

一方で、単なる社員同士の好き嫌いの問題と区別がつきにくかったり、人間関係の不満が埋もれてしまって会社に表面化しなかったりして、会社として対処する難しさもあります。会社としては、問題社員の性格に干渉するのではなく、問題社員が起こすトラブルにスポットを当てて対処するとよいでしょう。

2 能力不足

能力不足の社員は、誰でもできるような業務でミスを繰り返したり、業務を達成できなかったり、採用時に求めていた能力がなかったことが判明したケースを指します。

このタイプの問題社員を放っておくと、業務効率の低下や周りの士気の低下を招きます。能力不足の社員への指導や、ミスをリカバリーするために別の社員の業務が増えるので、業務に対する影響は顕著になります。

一方で、法的には、「社員を指導するのは会社の務め」という考え方が強いです。出来の悪い社員であっても、会社が十分な指導をしたのかどうか、そもそも会社の求めている業務のレベルが高すぎるのではないか、など、会社の側の落ち度が見られがちです。会社としては、我慢に我慢を重ねるくらい、粘り強く指導をして、それでもなお出来るようにならない、という実績を作らなければいけません。

3 勤務怠慢

やる気がなかったり、サボり癖がある、遅刻や欠勤が多い、病気や虚弱により満足に勤務できないなどがこのタイプです。

このタイプの問題社員を放っておくと、業務効率の低下や周りの士気の低下を招きます。サボりや欠勤など、いわばズルをして仕事をしない態度が、他の社員に波及し、同じようにサボり癖がつく社員が出てきかねないのが問題です。このタイプは、「仕事をしていない」という意味では、他のタイプよりも、会社のルールに反していることが明確だというのも特徴です。

一方で、法的には、「仕事をしなければすぐにクビにしていいわけじゃない」という考え方が強いです。仕事をしないならば、仕事をするように促し、一定期間改善の機会を与えてもなお、仕事をしないという実績を作らなければいけません。

4 素行不良

私生活で犯罪行為を犯す、犯罪とまではいかないが会社の体裁を汚すような不良行為がある、社内で不倫を繰り返す、などがこのタイプです。

このタイプの特徴は、社員のプライベートな領域での問題行動であるということです。社員がプライベートで問題を起こしても、それが直ちに会社に影響する訳ではありません。かと言って、まったく野放しにしておくと、後に大きなトラブルに発展し、その時に会社の対応が遅れる原因にもなります。会社としては、まずは口頭や書面での指導を実施しましょう。

このタイプで実際に懲戒やクビにできるのは、重大犯罪を犯したり、会社の性質からして許されないようなトラブルを起こしたり(教師の淫行や銀行員の詐欺、警備員の傷害や窃盗事件 等)、不倫問題がセクハラやパワハラに発展するなど、プライベートの領域を超えて、会社との雇用関係に目に見える影響を及ぼした時です。

5 業務命令の拒否

自分の独自の正義を振りかざして業務命令に従わない、業務命令に従わないのに自分の権利ばかり主張するというのがこのタイプです。このように、会社に従わない意図を明確に持っている場合もあれば、他にも、協調性がないタイプや能力不足のタイプ、勤務怠慢のタイプの問題社員に対処するために「この業務をするように」「こうやって業務をするように」「こういう勤務態度はとらないように」と業務命令を出したのに対し、改善が見られなかったがために業務命令違反が起こる場合もあります。

このタイプの社員を放っておくと、業務命令が名ばかりのものになってしまい、それを重ねるうちに、業務命令違反をしても会社は大したことと捉えていない、業務命令違反では懲戒できないという負の実績ができてしまいます。

業務命令は明確に書面で出し、違反があれば、程度に応じて指導や懲戒を実施しましょう。

6 ハラスメント

セクハラ、パワハラ、マタハラなどが典型的です。最近では世の中でハラスメント呼ばわりされる行為が多様化していますので、法的には何がハラスメントに当たるのか、ということを会社や管理職がしっかり把握していないと、太刀打ちできなくなってしまいます。例えば、パワハラでは、部下から上司に対するパワハラもあり得ます。部下であるという立場を利用して、自分のミスを上司に転嫁して糾弾したり、上司の些細なミスを攻撃するようなパターンです。また、上司の適切な指導に対して、モンスター社員である部下が過剰に反応して、その上司に厳しい言葉や侮辱するような言葉を浴びせるようなケースもパワハラにあたります。

このタイプを放っておくと、会社の職場環境が悪くなります。そうすると、離職する人が増えたり、時には「会社がハラスメントに対処しなかったから被害が拡大した」といって会社の責任(安全配慮義務や使用者責任といいます)を問われることもあります。

ハラスメントは重大な違反行為ですから、それだけ会社の処分も重くなることが予想されます。ハラスメントを行う問題社員に対処する時には、事実の確認が大切になります。また、被害者と加害者の双方のプライバシーに配慮しなければいけません。

7 不正行為

会社のお金の横領や備品の私的流用などがこのパターンです。多くは金銭がらみの不正です。

このタイプを放っておくと、同じような不正行為が他の社員にも横行しかねません。そして、一度不正を見逃すことにすると、以後、別の社員が同じような不正をしたら、見逃さなければならなくなってしまうというジレンマを抱えることになります。

一方で、不正行為といっても、金銭的に解決できる部分も多いのですから、重すぎる処分は禁物です。例えば、横領と言っても、数万円であれば、本人に弁償させれば、会社の被害は回復します。不正行為はけしからんという理由だけで見せしめ的に重大な処分を課すのではなく、被害がどの程度であるのか、会社の規律にどの程度悪影響があったのか、結果の重みに見合った処分をしなければいけません。

8 まとめ

問題社員はいくつかのタイプに分類することができます。なかには、一人の社員が複数のタイプに当てはまる問題行動をしていることもあります。情報漏洩など、問題によっては、業務が滞ったり職場の人間関係に支障をきたしたりという社内だけの問題では済まないこともあります。

問題社員の行動によって、直接的に迷惑を被るのは同じ職場で働く同僚です。現場レベルで発生している問題行動については、上司が把握しきれていないことも多いので、現場からの報告を受け、あなたの会社の厄介な社員が問題社員に当てはまるのか、どういった対処をすればいいのか、確認してみてください。

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